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皮膚障害に対する看護支援の概説
がん治療に伴う皮膚障害は,ざ瘡様皮疹,皮膚乾燥,血管障害,びらん・潰瘍,爪囲炎,毛髪異常,脱毛,手足症候群,多形紅斑,爪障害など,さまざまあり,発現機序も薬物により異なり複雑であるが,よほど重篤でない限り,ただちに生命を脅かすものではない.しかし,痛みや掻痒感などの自覚症状は生活に支障をきたし,皮膚はアピアランス(外見)に大きくかかわることから心理社会的にもQOL (quality of life)を大きく左右する.
看護支援としては,まずは可能な限り予防に努める.その際,毎日の定期的な皮膚の保全,つまり保湿剤を使用し優しく清潔に保つのは患者自身であり,皮膚の状態の変化にいちばん気づきやすいのも患者自身であることから,患者のセルフケアが欠かせない.患者と家族に皮膚障害の原因や症状,予防法や対処法について正確な情報を詳しく説明し,患者のセルフケア能力の維持・増進にかかわることは重要な看護支援である.患者自身のセルフケアに役に立ててほしいという願いを込めた『がんサバイバーのための皮膚障害セルフケアブック』1)が出版されている.
一方で,とくに分子標的治療ではなんらかの皮膚障害が必発であるため2),患者からの報告に頼ることなく,看護師が医療専門職として皮膚の状態を定期的に評価することで皮膚障害の早期発見に努め,医師や薬剤師,栄養士などと連携して早期に適切な対応をとれるようにすることも重要である.がん治療による皮膚障害は,がん腫による違いよりも,薬剤の種類により起こりうる障害が特徴づけられるため3),皮膚障害に関するガイドライン3-5)では通常,皮膚障害の種類と起因する薬剤により整理され,推奨される予防/治療が示されている.例を表1にまとめた.
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