特集 リサーチエビデンスを看護ケアに活かす ~今とこれから~
介護負担
梶原 弘平
1
Kohei KAJIWARA
1
1日本赤十字九州国際看護大学
pp.729-731
発行日 2023年11月1日
Published Date 2023/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango28_729
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
介護負担に対する看護支援の概説
介護負担とは,「親族を介護した結果,介護者が情緒的,身体的健康,社会生活および経済状態に関して被った被害の程度」と定義されている1).高齢者の介護領域では,長年重要性が指摘されてきているが,近年ではがん患者の領域においても重要性が指摘されており,介護領域の介護負担尺度について,緩和ケア領域(がん患者を含む)における妥当性の検証も報告されている2).
がん患者の介護負担のみに着目したガイドラインは現状では示されていないが,家族介護者の緩和ケアの文献レビューにおいては家族支援の重要性が指摘されている3).その文献レビューにおいて,アセスメントと,①家族介護者をケアユニットの一員として考慮する,②介護者の状況,展望,ニーズの評価,③適切なサービスとリソースの紹介,④悲嘆を通した家族介護者の支援の4つの要素が示されている3).文献レビューのアウトカムの一部として,家族介護者の負担も含まれており共通する支援になるとも考えられ,支援の視点として重要であるといえる.また,特定のがん疾患においては介護負担を含むシステマティックレビューが行われており,膵臓がん患者の介護者を対象としたものでは,介護者の状況について介護負担を含むさまざまな側面で理解することは支援を行っていくうえで有用であると指摘されている4).このように,これからの視点ではあるが,がん看護領域においても家族の介護負担に着目した支援は今後重要性が高まることが予測される.
© Nankodo Co., Ltd., 2023