特集 リサーチエビデンスを看護ケアに活かす ~今とこれから~
がん疼痛
森川 みはる
1
Miharu MORIKAWA
1
1おおたかの森こどもクリニック,京都大学大学院 医学研究科人間健康科学系専攻 先端看護科学コース先端中核看護科学講座緩和ケア看護学分野/がん看護専門看護師
pp.699-701
発行日 2023年11月1日
Published Date 2023/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango28_699
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がん疼痛に対する看護支援の概説
疼痛とは,「組織の損傷や傷害の際に表現される不快な感覚および情動体験」と定義されている1).進行がん患者では70%以上の方が経験するといわれ2),日常生活に大きな支障をきたす症状である.シシリー・ソンダースが提唱したトータルペインの考え方では,身体的・精神的・社会的・スピリチュアルな側面があり,それぞれ影響を与えているとされている.がん患者,およびがんサバイバーの経験する疼痛は,さまざまな病因(腫瘍,治療関連,非がん関連など)やさまざまな症状(侵害受容性,神経障害性),持続期間(持続痛,突発痛,慢性痛など)によるため複雑である.そのため,疼痛管理には多職種チームアプローチが重要であり,必要に応じて薬物療法と非薬物療法を併用する必要があるとされている.薬物療法において看護師が行う支援として,疼痛アセスメント,患者や介護者への疼痛マネジメントについての教育やセルフマネジメントを支援することが推奨されている3).セルフマネジメントを支援することは,患者が疼痛に対処する行動を自ら決断・解決することで自己効力感を高めることにつながり,疼痛を和らげる方法を日常生活に取り入れることができる4).一方,非薬物療法については,National Comprehensive Cancer Network (NCCN)ガイドライン3),American Society of Clinical Oncology (ASCO)ガイドライン5)で紹介されており(表1),患者の嗜好に合わせ,薬物療法と併用することが提案されている.
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