特集 化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN) ~しびれに悩む患者に,なにができるか~
Ⅳ.事例紹介
末梢神経障害を有する膵がん高齢患者に対する看護
小和田 美由紀
1
Miyuki KOWADA
1
1国立病院機構 渋川医療センター看護部/がん看護専門看護師
pp.565-567
発行日 2023年7月1日
Published Date 2023/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango28_565
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事例紹介
プロフィール
Bさん,70代,女性.元夫と長女と3人暮らし.高齢のため10年前より元夫の介護目的で再び同居を始めた.2年前までは卓球をして活動的であり,ホットカーラーで髪を巻きハイヒールをはくなど,おしゃれを楽しむ生活をしていた.診断は膵体尾部がん,多発肝転移.心房細動や慢性心不全で入院歴がある.
治療経過と現在の状況
背部痛を自覚し,食後の腹痛があり近医を受診.腫瘍マーカーとCT検査にて膵臓がんステージⅣの診断で総合病院へ紹介となった.MRI・CT検査行い,膵体尾部がん,後腹膜浸潤,膵動脈・左胃動脈・膵静脈浸潤,多発肝転移と診断され告知を受けた.初回化学療法目的で入院し,CVポートを挿入した.
mFOLFIRINOX治療を高齢のため10%減量で治療開始.治療初回より,食欲不振あり.5ヵ月後,末梢神経障害(chemotherapy induced peripheral neuropathy:CIPN)グレード1,味覚障害グレード1,体重減少とふらつきがあり,6ヵ月後より末梢神経障害グレード2,味覚障害グレード1があり30%減量し治療継続となった.7ヵ月後に末梢神経障害グレード2,10ヵ月後に末梢神経障害グレード3のためオキサリプラチンを抜き,治療継続となった.
現在,「ファスナーやボタンも考えて洋服を選び,今までのようには選べない.ピアスが耳穴にとおらない.しかたないですけどね.料理も包丁で手袋を毎回切ってしまいます.情けない気持ちです」と,しびれのため生活が変ってしまったと話した.
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