特集 がん薬物療法の看護技術
第Ⅳ章 治療経過に伴う患者の“そのとき”に寄り添う
治療開始×不安軽減
黒田 直子
1
1がん研究会有明病院看護部外来治療センター/がん化学療法看護認定看護師
pp.495-497
発行日 2023年6月15日
Published Date 2023/6/15
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango28_495
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はじめに
がん薬物療法の目的は「がんの根治」「腫瘍縮小・生存期間の延長」「症状緩和・QOLの改善」である.治療法には,薬物療法単独だけでなく,局所療法(手術療法や放射線療法)と薬物療法を組み合わせた併用療法があり,疾患や病状の進行度,患者のさまざまな背景により治療が選択される.患者はがんと告知され治療を受けることを意思決定した後も,がん薬物療法が進んでいく中で,自分がどのような経過をたどるのか治療や生活に関連するさまざまな思いをめぐらせ心理的な負担を感じる.
がん体験者の悩みや負担は,「病状の進行具合」「治療の効果」「副作用」など,治療に関する項目が上位を占めていた.また,「外見の変化」「治療による日常生活の活動制限」「仕事への影響」など,社会生活や日常生活にかかわることにも不安を感じていた1).
本稿では,がん薬物療法を受ける経過の中で患者が抱く不安に寄り添い,患者が主体的に治療に向き合える支援について述べる.
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