特集 がん薬物療法の看護技術
第Ⅲ章 有害事象
悪心・嘔吐×薬物/非薬物療法ケア
富樫 裕子
1
1国立がん研究センター中央病院看護部/がん化学療法看護認定看護師
pp.471-474
発行日 2023年6月15日
Published Date 2023/6/15
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango28_471
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はじめに
悪心とは,胃または喉の奥で起こる「波打つような」感覚と表現される不快な主観的体験であり,嘔吐を伴うことがある1).制吐薬適正使用ガイドラインのがん患者に対する悪心・嘔吐の治療の基本の冒頭には,「がん薬物療法における悪心・嘔吐の治療目的は発現予防ではあるが,過不足ない適正な治療を行うことが目標であり,過剰になることは慎むべきである」と記されている2).悪心・嘔吐の出現時には,安直に制吐薬の使用に頼りがちではあるが,患者の訴えを聞くと,視覚や嗅覚からの刺激により悪心が誘発されているケースも少なくない.そのような場合には,非薬物的なケアも重要となる.本稿では,抗がん薬の催吐性リスクに応じた適正な制吐薬の使用に加え,患者の個別性に応じたアセスメントを行い,予防や症状出現時に適切なケアにつなげ,患者の苦痛を最小限にとどめられるような看護について考えていきたい.
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