増刊号 実践に活かすアドバンス・ケア・プランニング
第Ⅴ章 事例を通してACPを考える
うつ状態により病状や見通しを伝えることに困難を抱えた事例
岸根 麻里子
1
1北里大学病院看護部/がん看護専門看護師
pp.166-170
発行日 2023年2月15日
Published Date 2023/2/15
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango28_166
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
事例
北さん(仮名).60歳,男性.残胃がん.膵体部浸潤,腹膜播種,stage Ⅳ
既往歴:20年前に胃潰瘍で胃を3分の2切除.
家族背景:妻と2人暮らし,子どもはいない
経過・状況
20XX年4月頃に消化不良の症状が出現し,近医受診.内視鏡検査を勧められるが希望せず,経過観察していた.症状が改善しないため,2ヵ月後に内視鏡検査を行い腺がんが疑われ,当院消化器外科に紹介された.CT上膵体部浸潤を認め,確定診断目的で審査腹腔鏡および腸瘻造設術を実施したところ,腹膜播種を認め手術は困難,stage Ⅳと診断された.延命目的のがん薬物療法の方針となり,消化器内科に転科してがん薬物療法を開始した.看護師は告知された時点から今後の予測される経過を想定し,ACPを意識したかかわりを開始した.
© Nankodo Co., Ltd., 2023