増刊号 実践に活かすアドバンス・ケア・プランニング
第Ⅴ章 事例を通してACPを考える
患者の価値観や生き方を話し合いで理解しあった事例
岩本 純子
1
1北里大学病院看護部/がん看護専門看護師
pp.171-174
発行日 2023年2月15日
Published Date 2023/2/15
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango28_171
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事例
西野さん(仮名),70歳代,男性.
家族は70歳代の妻と長女,中学生と小学生の孫3人との6人暮らし.一家の主な生活費は西野さん夫婦の年金でまかない,西野さん夫婦が孫の世話をしている.外来は西野さん一人で受診しており,治療方針などの医師の説明時のみ妻と遠方に住んでいる長男が同席していた.長女とは不仲で家での会話はない.
既往は腹部大動脈瘤で手術歴がある.
経過・状況
S状結腸がんstage Ⅱに対し20XX年にS状結腸切除術を行い,2年半後に骨盤内リンパ節に再発したため化学療法が開始となった.評価のCTはstable disease (SD)だったが同時に腹部大動脈瘤の増大が判明した.西野さんと妻,長男に説明がなされ手術はリスクが高く経過観察の方針となった.化学療法の11コース目のとき,西野さんは体調がわるいと治療をキャンセルし,その後,経済的理由で治療を行ったり,キャンセルの申し出があったりした.外来看護師はソーシャルワーカーへの相談を勧めたが要望はなかったため,緩和ケア外来の看護師に,計画どおりに治療を受けられない西野さんに介入してほしいと依頼があった.
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