特集 「がん悪液質」を知ってケアに活かす ~病態・最新の治療を理解してケアをアップデート~
がん悪液質のアセスメントと看護
佐藤 理佳
1
Rika SATO
1
1静岡県立静岡がんセンター看護部/聖路加国際大学大学院博士課程
pp.775-777
発行日 2022年11月1日
Published Date 2022/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango27_775
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医療者が捉える「がん悪液質」について
がん悪液質と聞いてどのような状態を想像されるだろうか.国内の医療者に対する調査では,半数以上ががん悪液質を終末期の段階でみられる全身状態不良の状態と捉えているとされている1).しかし,この医療者が捉えるがん悪液質は,国際的ながん悪液質の定義とは異なる2).
医療者(主に看護師)の捉えるがん悪液質は,何によって生じているのか,またその結果何が生じているのかを明らかにするために概念分析を行った.MEDLINEでキーワードを“cachexia” “neoplasms” “cancer” “nurse”を用いて検索し,選択基準に該当する11件の論文を抽出した.その結果,医療者が捉えるがん悪液質は,【体重減少と食欲不振】を伴う【不可逆的】な症状を指し,【何かわからない】と捉える医療者も存在することが明らかとなった.栄養不良やサルコペニアについては【認識の高さ】があるが,がん悪液質については【教育不足】【ケアの不確実性】【医療体制】も影響し,その結果【介入されにくい】【患者/家族の対処が困難】といった状況が生じていることが示唆された(図1).
© Nankodo Co., Ltd., 2022