特集 「がん悪液質」を知ってケアに活かす ~病態・最新の治療を理解してケアをアップデート~
がん悪液質に対する薬物療法
高山 慎司
1
Shinji TAKAYAMA
1
1聖路加国際病院薬剤部
pp.760-762
発行日 2022年11月1日
Published Date 2022/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango27_760
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はじめに
がん悪液質は腫瘍部位や進行度によるが,がん患者の半数以上に生じると報告されている1,2).主な症状としては食欲不振,体重減少,疲労,疼痛,悪心・嘔吐などが挙げられる.薬物療法としては,ステロイド,女性ホルモンである酢酸メゲストロール,イコサペント酸エチル,サリドマイドなどを用いた臨床研究が実施されている3,4).また,それらの薬剤の単独使用もしくは多剤併用療法など議論が分かれるところではあるが,多剤併用の効果が高いという報告がされている4).わが国においては中心静脈栄養によるカロリー補給やデキサメタゾンなどの糖質コルチコイドによる治療が日常臨床として広く行われている.一方,上記の薬剤はいずれもがん悪液質に対する適応を有しておらず,エビデンスも限られていた.このようにがん悪液質に対する有効な治療方法がない状況であったが,海外・国内臨床試験で有効性が証明されたグレリン様作用をもつアナモレリン(anamorelin)が登場し2021年4月にわが国で発売となった.
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