特集 「がん悪液質」を知ってケアに活かす ~病態・最新の治療を理解してケアをアップデート~
がん悪液質とはなにか
内藤 立暁
1
Tateaki NAITO
1
1静岡県立静岡がんセンター呼吸器内科
pp.751-755
発行日 2022年11月1日
Published Date 2022/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango27_751
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がん悪液質とは
がん悪液質はあらゆる悪性腫瘍に併存しうる消耗性の疾患である.罹患した患者は身体機能や体重を保つために普段より多くの自主的な努力が必要となる.気づかずに病気の成り行きに身を任せていると,経口摂取量が栄養所要量を大きく下回り,筋力や歩行機能が急速に衰えて,階段をあがることや趣味・仕事を継続することがむずかしくなる.最終的にはがん治療に耐えられない身体状態となってセルフケアもむずかしくなる.やがて寝たきり状態になり,期待よりも早く死期を迎えることになる.がん悪液質における食欲制御,骨格筋や脂肪の代謝のメカニズムが解明されるにつれて,複数の薬物治療の開発が進んでいる.しかし,生活の質が維持された生存期間を延長することは薬物治療のみでは困難であり,栄養指導,運動療法,心理療法などとの併用が必須と考えられている.本稿ではがん悪液質を概説し,集学的治療モデルの中で看護の果たす役割を示す.
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