特集 「がん悪液質」を知ってケアに活かす ~病態・最新の治療を理解してケアをアップデート~
がん悪液質に対する栄養療法
田口 雅子
1
Masako TAGUCHI
1
1聖路加国際病院看護部
pp.763-765
発行日 2022年11月1日
Published Date 2022/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango27_763
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はじめに
2011年欧州のEuropean Palliative Care Research Collaborative (EPCRC)コンセンサスでがん患者の体重減少に対し「前悪液質からの介入」を推奨している1).一方で,患者・医療者ともに従来の悪液質のイメージから食欲不振や体重減少を悪液質の症状の1つと捉えることができず,また栄養介入の必要性が広く認知されているとはいいがたい.
がん悪液質に対しては,代謝異常の程度が軽度である前悪液質の段階で栄養介入を行うことによって,栄養状態の維持や治療への耐用性を向うえできるため,いかに早期に栄養介入へつなげていくかがが重要である.また,治療中の患者は化学療法や放射線療法による口腔粘膜障害,下痢,悪心・嘔吐といった経口摂取に影響を与える症状から,2次性飢餓と悪液質が併存しておりどちらも体重減少の原因となっていることが多い.そのため臨床での栄養介入では飢餓と悪液質の両方へアプローチすることが求められる.
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