特集 「がん悪液質」を知ってケアに活かす ~病態・最新の治療を理解してケアをアップデート~
がん悪液質による心理社会的苦痛への多職種ケア
天野 晃滋
1
Koji AMANO
1
1国立がん研究センター中央病院緩和医療科
pp.778-782
発行日 2022年11月1日
Published Date 2022/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango27_778
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がん悪液質と全身性炎症
がん悪液質の本態は腫瘍微小環境の炎症とそれに端を発した全身性炎症と考えられる1,2).つまり,局所の炎症により産生された炎症性サイトカインが血流にのって血液脳関門を通過し中枢神経に到達する経路と,炎症性サイトカインの刺激が迷走神経を経由し神経伝達物質を介し中枢神経に到達する経路により,末梢組織で発生した炎症が中枢神経に波及し増幅し全身性炎症に発展する3).さらに腫瘍と宿主との相互作用で全身性炎症に拍車がかかり,視床下部-下垂体-副腎系と交感神経系に影響をおよぼし,食欲不振・早期満腹感・倦怠感などの身体症状とともに眠気・抑うつ・せん妄などの精神症状が出現する4).
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