連載 知って安全! エビデンスに基づく抗がん薬の曝露対策と臨床実践 【4】
抗がん薬投与管理環境の日常清掃
狩野 太郎
1
Taro KANO
1
1群馬県立県民健康科学大学看護学部看護学科
pp.717-721
発行日 2021年11月1日
Published Date 2021/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango26_717
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はじめに
病棟や化学療法室など,Hazardous drugs (HD)投与管理を行う環境では,テーブルや椅子,床やドアノブ,便器周りなど,さまざまな場所のHD汚染が報告されている1-4)(図1).
HDの職業性曝露は,微量ながらもその期間は数年から数十年と長期にわたり,このような状況下での人体への健康影響はいまだ十分解明されていない5).このため,HD曝露対策では,安全キャビネットやCSTD (closed system drug-transfer device:閉鎖式薬物移送システム)を用いた封じ込め対策の推進に加え,投与管理環境から測定可能なHD成分が検出されないよう日常的な環境清掃が期待される.
『がん薬物療法における職業性曝露対策ガイドライン2019年版』5)(以下,ガイドライン)では,HD投与管理を行う環境や床清掃の際には界面活性剤を使用することを,弱く推奨している.本稿ではこのガイドラインの根拠となったエビデンスを紹介するとともに,参考になる実践例,COVID-19の流行によるHD曝露対策への影響を紹介し,今後の対応について考えてみたい.
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