連載 シームレスに実践 ターミナルケア・グリーフケア 【4】
外来でのターミナルケアの実践 ~人生の完結期をその人らしく過ごすために,ともに考え支える外来看護とは~
宮田 優子
1
1東京医科歯科大学病院 緩和ケアセンター/がん看護専門看護師
pp.723-727
発行日 2021年11月1日
Published Date 2021/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango26_723
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はじめに
通院中のがん患者・家族が外来で医師や看護師と直接相談できる機会はおおむね数週間に1回程度で,それ以外の長い時間,患者・家族は心身の変化に自分たちで対処し,社会生活にケアを適応させていかなければならない.終末期の患者では亡くなる1ヵ月前頃から痛みに加えて全身倦怠感,食欲不振,便秘,不眠などの症状の出現頻度が増加1)し,亡くなる時期が近づくにつれてさらに症状の頻度は増す(図1).加えて患者の日常生活動作が困難になると家族の行うケアも増加する.このような状況の中で患者・家族は全人的な苦痛を体験する.外来看護師は患者の状態を予測的に評価し,さまざまな症状に適切に対処できるよう情報提供を行ったり,療養の意思決定を支援し必要な在宅医療・介護サービスを調整したり,心理的サポートを提供するなど積極的にかかわることが求められる.これらのケアは同時に,患者・家族を擁護する倫理的活動でもある.
本稿では,がん患者と家族が人生の完結期をその人らしく過ごすために,外来でどのようなケアを行うべきかについて事例を通して考えたい.
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