特集 研究を活かしケアにつなぐ看取りのエビデンス
死に向かうからだと症状
口渇,喘鳴,身の置き所のなさ
小林 成光
1
Masamitsu KOBAYASHI
1
1防衛医科大学校医学教育部看護学科/がん看護専門看護師
pp.672-677
発行日 2021年11月1日
Published Date 2021/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango26_672
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口渇
口渇(dry mouth)とは,口腔内が乾燥していると感じる患者の主観的な症状であり,終末期患者の約8~9割が経験している1-3).口渇の原因は,加齢,経口摂取の低下,唾液腺障害,脱水,放射線およびがん薬物療法,薬剤の副作用,酸素投与,口呼吸など多岐にわたるが,終末期の状況では,これらの原因が複合的に影響するため,原因を特定することはむずかしい.加えて,日常生活動作が低下した終末期患者は,口腔内のセルフケアが十分にできず,口腔内の状態が悪化することが報告されている2).一方で,終末期の状況では,全身状態の悪化に伴い医師および看護師は,口腔内の衛生が優先事項であると認識しておらず,あまり注意が向けられていない現状もある4).
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