特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
VI.代謝糸
1.口渇と尿量異常よりなにを考えるか
口渇
小林 勇
1
1東北大・鳥飼内科
pp.1166-1168
発行日 1972年7月5日
Published Date 1972/7/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204239
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生体は体内の水分が欠乏したとき,抗利尿ホルモン(ADH)分泌を介して腎からの水再吸収を増加させるが,これだけでは喪失を防ぐに十分ではない.このようなときに赤信号として渇感が生じ,水分摂取が促され,初めて水欠乏が是正されることになる.すなわち口渇多飲は,間脳下垂体後葉-尿細管系とならんで,生体にとって体液量および滲透圧の維持に欠くことのできない重要な機構である.現在口渇はAnderssonらの実験結果にもとづき,視床下部にあるとされる渇中枢(thirst center)から中枢性に生ずると考えられている.渇中枢に対するおもな生理的刺激はADH分泌の場合と同じく,体液滲透圧の上昇か体液量の減少である.一方視床下部病変などで渇機構そのものが冒された場合には,脱水があって口渇がおこらぬこともあるわけである.
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