特集 直腸がんの手術をめぐる看護 ~「食べる・排泄する・動く」をサポートする~
術後の食生活で注意することは?
林 ゑり子
1
Eriko HAYASHI
1
1横浜市立大学/がん看護専門看護師
pp.594-598
発行日 2021年9月1日
Published Date 2021/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango26_594
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
直腸がん手術後の患者にとって,排泄機能変化に伴い生活するうえでの多岐にわたる変化がある.手術前の食事様式から変更することが必要になる.北村らは,『直腸がんの術後に補助化学療法を受ける患者は多く,術後の7割以上は体調の変化を体験している.とくに,症状体験は,排泄の変化として「便の性状や回数が変わった」が36.1%の患者に認められ,栄養状態の変化として「食欲がない」および「食事の摂りかたが変わった」が41.0%の患者に認められている』1)と報告している.直腸がんを含む消化管のがんは,ほかのがんと比較して栄養不良がもっとも高く頻出し,多様な治療法を受ける患者は経口摂取,消化作用,栄養吸収に障害をもたらすリスクが高いと指摘されている2).
一度退院すると,患者は,自宅での生活の中で食事や手術創,体力の回復面においてセルフケアをしていく必要がある.直腸がんを含む消化器がん術後患者のセルフマネジメント力は,「受診や治療のために時間や家族協力の調整ができる」が100.0%,「知識や技術に関する相談相手がいる」が83.6%で多く,情緒的サポートや周囲からのサポートは得られていることが明らかとなった3).これは,直腸がん術後の患者の健康的な食生活を充実させるには,患者一人での力ではなく,家族や友人と食事をすることも多くあり,周囲からのサポートも必要である.ここでは,直腸がん術後の患者の食事に関する支援を述べる.
© Nankodo Co., Ltd., 2021