特集 直腸がんの手術をめぐる看護 ~「食べる・排泄する・動く」をサポートする~
仕事ではなにに気をつけるか? ~患者の生活に密着してどこに道筋をつけていけばよいかを見直す~
橋本 久美子
1
Kumiko HASHIMOTO
1
1学校法人聖路加国際大学聖路加国際病院 相談支援センターAYAサバイバーシップセンター
pp.599-604
発行日 2021年9月1日
Published Date 2021/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango26_599
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
働くことは,人それぞれが目的をもっている.直腸がん患者の多くは,社会的にもさまざまな役割をもつ年代であり,手術治療後は,排便障害をはじめさまざまに生じる困難な暮らしの中で,自分らしさを回復していくことになる.
患者にとってがんと仕事は,がんとともに生きる自分らしい生活を手に入れるためにも,症状コントロールやがんに対する理解者・支援者を増やすことが必要になる.個人や家族のみならず,職場や地域へ自己の意思を伝え,自分らしい生活や生きかたを選択し実践していく中で,自らの中にがんと向き合う強さを育てていくことにつながると考える.
そこで,本稿では,直腸がん肛門温存術の就労継続とその生活に焦点をあて,仕事や周囲との付き合いをどのように折り合いをつけ,どこに道筋をつけていけばよいか,セルフケアを高めるためのアプローチを考えてみたいと思う.
© Nankodo Co., Ltd., 2021