特集 服薬アドヒアランスを高める看護
特集にあたって
本田 晶子
1
,
矢ヶ崎 香
1
1慶應義塾大学看護医療学部/がん看護専門看護師
pp.535-535
発行日 2019年7月1日
Published Date 2019/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango24_535
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近年,がん医療においては,治療や支持療法,症状緩和にわたり多くの経口薬が使用されています.患者にとって経口薬は,自宅で管理できる簡便さから,治療と生活の両立が可能になる一方で,その服薬行動は患者自身に委ねられているといえます.
患者が正しい用法・用量で適切に服薬できなければ,安全で有効な治療は遂行されません.また,重篤な副作用の発現や症状緩和が不十分になることも考えられます.そのため,がん患者の服薬アドヒアランスを高める支援が重要です.しかしながら,医療者は,その重要性については十分認識しているものの,実際にはむずかしく,うまくいかない事例や思いもよらない患者・家族の反応に直面し,さまざまなアプローチを試みているのが現状かもしれません.
本特集では,こうしたがん医療における服薬アドヒアランスについての多様な課題をていねいに掘り下げ,より効果的な支援の糸口を探ることをねらいとしています.がんの種類や治療法,ライフステージや場の特徴から,アドヒアランスに関する課題を整理し,具体的な事例とともに実践のポイントを伝えたいと思っています.日ごろ,臨床や教育の第一線で活躍される先生方にご執筆いただきました.
本特集が,アドヒアランスを高める方略的な内容にとどまらず,患者・家族の抱える課題や事象に潜む背景への理解を深める一助となることを願っています.
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