特集 がん患者に寄り添うコミュニケーション ~事例で学ぶ患者とのかかわりかた~
Ⅱ.コミュニケーションの実際 ~事例編~
バッドニュース告知後① 病名告知後,治療よりも自分の夢の実現に固執した男性胃がん患者
松田 芳美
1
1公益財団法人やまがた健康推進機構山形県がん総合相談支援センター/がん看護専門看護師
pp.130-133
発行日 2021年2月15日
Published Date 2021/2/15
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango26_130
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❁ 事例紹介
Gさん,41歳,男性.
患者は会社の胃がん検診で指摘され,精密検査目的で入院していた.
がん相談支援センター入り口で迷っている様子の患者に,なにか相談したいことがあるのではないかと思い,相談員である看護師が「ご相談ですか」と声をかけると,硬い表情で,「今,医師から早期胃がんの可能性があり,胃を全部取る手術になるかもしれない,手術で取り切れるので抗がん薬治療は不要だろうと説明を受けた.胃を取った後の食生活や仕事復帰について知りたい」と話した.医師の説明をきいたばかりで混乱しているのではないかと考え,「よろしければなかでお話していきませんか?」と面談室に案内した.
看護師は,手術後の生活に対するイメージがつかずに不安があるのだろうと思い,話をきき始めた.
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