特集 がん患者に寄り添うコミュニケーション ~事例で学ぶ患者とのかかわりかた~
Ⅱ.コミュニケーションの実際 ~事例編~
バッドニュース告知後② ステージⅣの告知後,死の不安が強く嘆いていた乳がん患者
小野 聡子
1
1札幌医科大学附属病院医療連携福祉センター/がん看護専門看護師
pp.134-137
発行日 2021年2月15日
Published Date 2021/2/15
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango26_134
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❁ 事例紹介
Hさん,50代半ば,女性.
右乳がん(肝転移,ステージⅣ,トリプルネガティブ)と診断され,告知の10日後に入院し,CVポート作成,がん薬物療法(FEC療法)が開始となった.医療者と会話をする度に涙ぐんでおり,今後外来薬物療法となる予定であるため,病棟看護師より,長期支援目的で看護相談へ依頼があった.面談前日の記録には,「ショックでした.もう予後少しなのかなって.インターネットって駄目ですね.それを見たら末期って書いてあって…….病室の人たちに,大丈夫って言われて少し安心したところです」と記載されていた.
面談室に来たときは,表情は硬く,視線は部屋のあちこちをさまよっていて,落ち着かない様子であった.椅子に座るように促し,一昨日行われた薬物療法後の体調などについてきき,少し緊張がほぐれたところから,患者の不安についてきくこととした.
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