特集 ゲノム医療とがん看護 ~私たちはなにを知って,なにをする?~
【がんゲノム医療の「いま」を知る!】
乳がん患者へのがんゲノム医療 ~医師の立場から~ 【germ-line】
國久 智成
1
,
豊田 昌徳
2
Tomonari KUNIHISA
1
,
Masanori TOYODA
2
1神戸大学医学部附属病院乳腺内分泌外科
2神戸大学医学部附属病院腫瘍・血液内科
pp.739-741
発行日 2020年11月1日
Published Date 2020/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango25_739
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はじめに
乳がんは,女性のがんの中でもっとも罹患率が高く,現在推定で年間約9万人が乳がんに罹患し,年間約1.5万人が亡くなっている1).遺伝性乳がん卵巣がん症候群(Hereditary breast and ovarian cancer syndrome:HBOC)に代表されるように,がんになりやすい体質である遺伝要因が乳がん発症にかかわっている場合や,放射線療法による二次がんが懸念される場合もあり,遺伝学的背景に配慮した乳がん診療が求められる.また,抗がん薬のコンパニオン診断として用いられはじめたBRCA1/2遺伝子検査が,乳がんまたは卵管・卵巣がん患者の中からHBOCを診断し,医学的管理を決定するための補助として用いることができるようになった.さらに,進行固形がん患者に対するがん遺伝子パネル検査の結果,乳がんに罹患しやすい遺伝子に変異が認められ,遺伝性乳がんの疑いや遺伝性乳がんと確定診断されたがん患者への対応もはじまっており,乳がん領域におけるゲノム医療の需要は高まっている.
© Nankodo Co., Ltd., 2020