特集 ゲノム医療とがん看護 ~私たちはなにを知って,なにをする?~
【がんゲノム医療の「いま」を知る!】
肺がん患者へのがんゲノム医療 ~医師の立場から~ 【somatic】
武田 真幸
1
Masayuki TAKEDA
1
1近畿大学内科学腫瘍内科/ゲノム医療センター
pp.732-735
発行日 2020年11月1日
Published Date 2020/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango25_732
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はじめに
近年,ドライバー遺伝子変異を中心に複数の分子標的治療薬が開発され,上市にいたっている.非小細胞肺がん(NSCLC)においては,EGFR (epidermal growth factor receptor:上皮成長因子受容体)やALK (anaplastic lymphoma kinase:未分化リンパ腫キナーゼ)遺伝子を標的とした分子標的治療薬が実臨床導入により劇的な治療成績の向上が認められた.一方,NSCLCにおける新規のドライバー遺伝子としてROS1, BRAF, MET, NTRKが同定・薬剤導入されるようになり,ゲノム情報に基づくPrecision Medicine(精密医療,個別化医療)の推進が不可欠である.次世代シークエンサー(next generation sequencer:NGS)の登場により,数十~数百の遺伝子変異(変化)を同時に調べられるようになり,生検などの少ない腫瘍組織からも,多数の遺伝子異常を低価格・高スピードで提供できるようになってきた.2019年6月に,がん遺伝子パネル検査として,2種類のがんゲノムプロファイリング検査(OncoGuide™ NCCオンコパネルシステム,Foundation One CDx®がんゲノムプロファイリング)が保険収載された.一方,非小細胞肺がんにおいては,NGSシステムを用いたマルチコンパニオンとして,オンコマインDx Target Test マルチCDxシステムが承認されている.本稿においては,非小細胞肺がん患者における,保険収載下の遺伝子パネル検査,コンパニオン診断薬の使い分けについて概説する.
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