特集 患者報告型アウトカム ~患者の体験をケアに活かす~
【総論】
患者報告型アウトカム(PRO)とはなにか
宮下 光令
1
Mitsunori MIYASHITA
1
1東北大学大学院医学系研究科保健学専攻緩和ケア看護学分野
pp.613-617
発行日 2020年9月1日
Published Date 2020/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango25_613
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患者報告型アウトカム(PRO)とはなにか
患者報告型アウトカム(Patient-Reported Outcome:PRO)とは「被験者の症状やQOLに関して,自分自身で判定し,その結果に医者をはじめ,ほかのものが一切介在しないという評価方法」と定義されている.たとえばがん看護の臨床では日常的に患者に対して「いまの痛みは0~10点のうち何点ですか?」というアセスメントが行われているが,この痛みのスケールもPROである.いわゆるQOL (Quality of Life)尺度もPROの1つであり,1990年代から,がん医療やがん看護に関する研究で盛んに利用されてきた.緩和ケア領域では,カナダ・エドモントンでBrueraらが1990年ごろからESAS (Edmonton Symptom Assessment Scale)という症状評価スケールを1日に2回測定し,その結果をベッドサイドに置くことにより多職種で共有する取り組みがなされていた1)(詳細は本特集「ESAS, MDASI」を参照してほしい).ではなぜ,いま,PROが脚光を浴びているのだろうか.
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