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特集 整形外科領域におけるAIの応用
Ⅴ章.AIによる手術・診療支援
1.紙媒体の患者報告アウトカムの自動入力
-――日本整形外科学会腰痛評価質問票への深層学習の適用
Automated entry of paper-based patient-reported outcomes:applying deep learning to the Japanese orthopaedic association back pain evaluation questionnaire
細澤 幸輝
1
,
喜多 洸介
1,2
,
鈴木 裕紀
2
,
古家 雅之
1
,
蟹江 祐哉
1
,
藤森 孝人
1
K. Hosozawa
1
,
K. Kita
1,2
,
Y. Suzuki
2
,
M. Furuya
1
,
Y. Kanie
1
,
T. Fujimori
1
1大阪大学大学院整形外科
2大阪大学大学院人工知能画像診断学寄付講座
1Dept. of. Orthop. Surg., Osaka University Graduate School of Medicine, Suita
キーワード:
HR-PRO
,
back pain
,
JOABPEQ
Keyword:
HR-PRO
,
back pain
,
JOABPEQ
pp.605-608
発行日 2025年5月25日
Published Date 2025/5/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei76_605
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は じ め に
腰痛は,健康に大きな影響を与える筋骨格系障害である.癌のような死に関連する明確なエンドポイントをもつ疾患とは異なり,腰痛は直接寿命に影響を与えないため,腰痛を抱える患者の生活の質(QOL)を評価するためには健康関連患者報告アウトカム(health-related patient-reported outcomes:HR-PROs)の使用が重要である.また,新薬や医療機器の承認のための患者評価においても,HR-PROsの重要性が認識されつつある1).紙媒体のHR-PROsはデータ収集者にとっては手間がかかるため,紙媒体のHR-PROsデータから情報収集を自動化できるシステムの導入が必要である.
既存の紙媒体からのデータ収集方法には,主に光学文字認識(optical character recognition:OCR)技術が使用されている.実際,医療分野においてTeleForm(OpenText社)などのソフトウェアでOCRを利用して紙媒体からデータを自動収集した報告がある2).しかしTeleFormプログラムで設計されていない既存のフォームに対してのデータ収集はaccuracy値が低いという指摘もあり2),OCR技術の大きな課題である.深層学習(deep learning:DL)は,コンピュータビジョン分野における主技術として台頭しており,その中でも特に畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の応用に注目が集まっている3).われわれは,CNNを活用して紙媒体のHR-PROsから自動的にデータを抽出,収集することに特化したDLモデルを開発したので報告する.

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