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連載 最新原著レビュー
成人脊柱変形に対する患者報告型アウトカムの開発
-――妥当性検証研究
Development of patient-reported outcome for adult spinal deformity
:validation study
岸本 紘樹
1
,
藤森 孝人
1
K. Kishimoto
1
,
T. Fujimori
1
1大阪大学大学院整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Graduate School of Medicine, Osaka University, Suita
キーワード:
adult spinal deformity
,
patient-reported outcome
,
factor analysis
Keyword:
adult spinal deformity
,
patient-reported outcome
,
factor analysis
pp.1055-1058
発行日 2025年9月1日
Published Date 2025/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei76_1055
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【要 旨】
目 的:本研究の目的は,成人脊柱変形(ASD)患者の症状を包括的に評価するための疾患特異的患者報告型アウトカム(PROM)を開発し,その信頼性,妥当性,反応性を検証することである.
対象および方法:ASDは,脊柱変形,疼痛,日常生活動作(ADL),生活の質(QOL)の低下を特徴とする複雑な病態である.Long fusion手術では,術後動作制限が生じるため,評価には,ASD専用のPROMが望ましい.本研究では,既存の質問票から,ASDに有用と考えられる質問項目を選定,統合し,主要症状と付随症状の2因子を因子分析で抽出した.開発したPROMの信頼性(内的整合性),妥当性(構成概念妥当性,基準関連妥当性),反応性を検証し,臨床現場での有用性を評価した.
結 果:主症状と副症状の二つの因子がみつかった.主症状は10問の質問で構成され,ADL,疼痛,外見を評価した.副症状は5つの質問からなり,可動域制限によるADLを評価した.Cronbachのαはそれぞれ0.90と0.84であった.主症状の変化と満足度の間のSpearman相関係数は0.48(p<0.001)であった.また,術前と術後のスコアを比較したCohenのdの効果量は,主症状で1.09,副症状で0.65であった.
結 論:ASD手術の利点と限界を同時に評価することができ,臨床現場において十分な反応性をもつ,有用な疾患特異的尺度を開発した.

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