特別寄稿
STAS-Jの後継版であるIPOSとPatient Reported Outcome (PRO)の紹介 ~患者の声を臨床に生かす~
宮下 光令
1
Mitsunori MIYASHITA
1
1東北大学大学院医学系研究科保健学専攻緩和ケア看護学分野
pp.285-288
発行日 2020年3月1日
Published Date 2020/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango25_285
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STAS-JからIPOSへ
STAS-Jという尺度を聞いたことがある人は多いと思います.STAS-Jは痛みや身体・心理症状やコミュニケーションなどについて0~4の5段階で医療者が評価する尺度です1,2).「がん患者指導管理料2」の算定基準に組み込まれたこともあり,わが国でたいへん広く用いられてきました.実は海外ではSTASは過去のものになっており,STASの直系の後継版であるPOS (Palliative Outcome Scale),症状に特化したPOS-Sからそれらを統合したIPOS (Integrated Palliative care Outcome Scale)に進化し,国際的に広く用いられています3).昨年,IPOS日本語版の信頼性・妥当性研究が完了し,現在はその普及の段階に入っています4).IPOSは名称にPalliativeとあるように緩和ケアの対象となる患者を主なターゲットとしていますが,緩和ケアはWHOの定義にもあるように「苦痛がある患者・家族へのケア」であり,がん薬物療法や放射線療法と並行して用いられるものですから,すべてのがん患者および非がん患者に対して使用可能なものです.
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