特集 がん薬物療法による有害反応への対応 ~こんな時どうしたらよいの?~
高血圧
久保 知之
1
1独立行政法人国立病院機構四国がんセンター/がん化学療法看護認定看護師
pp.184-187
発行日 2020年2月15日
Published Date 2020/2/15
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango25_184
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事例
ベバシズマブ投与開始後1週間目に軽度のめまいと頭痛を感じたため,血圧を測ったところ,収縮期血圧184 mmHg,拡張期血圧が100 mmHgであった.
この事例のアセスメントと対応
この事例にどうアセスメントする?
ベバシズマブの影響で血圧が高値になっていることが考えられる.患者の血圧は収縮期血圧≧160 mmHg,拡張期血圧≧100 mmHgを超えており,CTCAE v5.0によるとGrade 3の高血圧と評価でき,内科的治療を要する状態である.ベバシズマブの副作用である高血圧の出現時期は投与初期から多く報告されており,患者はベバシズマブを投与開始して1週間目で症状が出現している.軽度のめまいや頭痛は,急速な血圧の上昇に伴い出現したものと考えられる.急速な血圧の上昇は高血圧クリーゼ*1や高血圧脳症*2のような急性症状をひき起こす危険性もある.まずは患者のベースラインの血圧と比較し,普段の状態よりもどの程度の血圧上昇を生じているか,確認が必要である.
この事例にどう対応する?
医師の指示のもと,降圧薬の内服を開始し,血圧を正常な値にコントロールすることが重要である(図1).治療中の血圧を適正に管理するため,毎日の血圧測定値を記録し,経過を観察する.併せて,血圧の上昇に伴う患者の自覚症状も観察することが,異常の早期発見につながる.めまいや頭痛が改善しない場合には,急性症状も疑われるため,追加の検査が必要となる場合もある.
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