特集 がん薬物療法による有害反応への対応 ~こんな時どうしたらよいの?~
末梢神経障害(しびれ)
岡崎 早苗
1
1西脇市立西脇病院/がん化学療法看護認定看護師
pp.180-183
発行日 2020年2月15日
Published Date 2020/2/15
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango25_180
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事例
Bv+mFOLFOX6療法開始翌日,水に触れると指先にピリピリした感覚と冷たいお茶を飲んだときに喉に違和感を自覚し,手や足に力が入りにくくなり,6コース目には車の運転ができなくなりました.
この事例のアセスメントと対応
この事例をどうアセスメントする?
切除不能転移・再発大腸がんの1次治療であるmFOLFOX6療法は,投与直後から手や足・口唇周囲の異常感覚,呼吸困難感や咽頭絞扼感を伴う寒冷刺激症状があり,オキサリプラチンによる急性の末梢神経障害であると考える.さらに,6コース目の「手足に力が入りにくく車の運転ができない」という症状は,治療回数を経て蓄積することで症状が蔓延する,持続性の慢性末梢神経障害であるととらえることができる.
この事例にどう対応する?
看護師は,末梢神経障害の出現時期や症状などを十分に理解したうえで不安と混乱を招かないように患者へ説明を行うよう注意する.急性の末梢神経障害に対しては,洗面や手洗いなどは水ではなく温水を用いたり,冬場の外出時はマフラーやマスクを着用するなどの対策を患者へ伝える.慢性の末梢神経障害に対しては,車の運転は事故を招く危険性もあるため,安全な通院方法を患者とともに検討する.また,衣類などは圧迫感や締めつけ感を避け適宜手袋などで保温する,また,不快を感じない程度のマッサージを加えたり安全な靴を選んで転倒を予防するなど,家族の支援依頼も考慮しながら患者と一緒に対策方法を講じる.
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