第25回日本臨床眼科学会 GROUP DISCUSSION
高血圧・眼底血圧
pp.575-580
発行日 1972年4月15日
Published Date 1972/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410204775
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.螢光撮影による網膜細動脈狭細の検討
松山秀一・○柳田 泰(弘大)
高血圧性眼底所見としての狭細は,一般に機能的狭細と器質的狭細に分けられ,さらにこれは,限局性狭細とびまん性狭細とに分けられている。器質的狭細に関しては,組織学的にも証明され,その存在は確認されているが,機能的狭細の存在には反対の意見もある。今回はこれらを検討する目的で以下の実験を行なつた。
実験は,高血圧症患者16人に血管拡張剤(Duvadilan,Ronicol,Vasculat,Apresoline)を投与し,その前後に螢光眼底撮影を行ない,その動静脈径を計測することにより,それぞれの変動を調べた。動時腎脈の拡張率は,症例や使用した薬剤によりさまざまであつたが,血管拡張剤としては,DuvadilanとApresolineを使用しなこ例において,特に著明な拡張を示すものを認めた。これら著明な拡張を示した症例は,軽度の網膜細動脈硬化症,血管痙縮性網膜症,網膜張力亢進症のものであり,眼底に強い網膜細動脈硬化症,軽度の網膜張力亢進症を認める症例においては,細動脈拡張率は小さかつた。これより,機能的狭細および器質的狭細の存在が考えられた。また,ある症例においては,細動脈の拡張率が一様ではなく,大きな変動を示したが,これは限局性狭細を意味するものと考えられた。
Copyright © 1972, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.