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事例
非小細胞肺がんでゲフィチニブを開始して10日目ごろから顔面と頸部,背部にざ瘡様の発疹が出現していました.滲出液も出ています.
この事例のアセスメントと対処
この事例をどうアセスメントする?
患者はEGFR (epidermal growth factor receptor)チロシンキナーゼ阻害薬であるゲフィチニブの開始により,顔面,頸部,背部を中心としたざ瘡様皮疹が発現している.ゲフィチニブはEGFR阻害薬であり,ざ瘡様皮疹は投与後1~2週間に発現し,発現頻度は64.9%と高頻度で起こる1).顔面など他者から見える部位のざ瘡様皮疹の発現は,気分の落ち込みや治療意欲の低下をひき起こす可能性がある.また,かゆみ,掻破による滲出液,刺激痛などにより日常生活に影響を及ぼし,スキンケアが不十分となる可能性がある.そのためスキンケア指導を含めたざ瘡様皮疹のコントロールが必要である.
この事例にどう対応する?
支持療法
広範囲に及ぶ強い症状があるためミノサイクリンの内服を追加し,顔面,頸部の皮疹に対してmediumクラスのステロイド外用剤,背部はvery strongクラスのステロイド外用剤を開始する.瘙痒感に対して抗ヒスタミン薬の内服を検討する.
ケア
外見の変化は患者にとって大きな心理的苦痛となるため,苦痛体験を傾聴,共感したうえで,対処方法を一緒に検討していきたいと伝える.
ざ瘡様皮疹の悪化を回避させるためにスキンケアを継続していく必要性を説明する.そして,日々のスキンケア状況,保湿剤の使用状況を確認し,継続して行えていることやケアの工夫点を肯定し,今後も継続するように伝える.滲出液や刺激痛などにより洗浄を控えてしまうことがあるため,清潔を保持し,2次感染を予防する必要がある.熱いお湯は皮膚に刺激を与えるため,ぬるま湯が望ましいこと,洗浄剤を泡立てて泡で洗うことなど具体的な方法を提案する.また,処方されたステロイド外用剤の適切な使用を説明する.
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