特集 がん薬物療法による有害反応への対応 ~こんな時どうしたらよいの?~
B型肝炎ウイルス再燃
濵田 のぞみ
1
1独立行政法人国立病院機構米子医療センター幹細胞移植センター/がん化学療法看護認定看護師
pp.159-162
発行日 2020年2月15日
Published Date 2020/2/15
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango25_159
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事例
RB療法を開始し,4コースが終了したときに黄疸に気づき採血を行った結果,総ビリルビン,肝酵素の値が著しく上昇していた.
この事例のアセスメントと対応
この事例をどうアセスメントする?
リツキシマブ+ベンダムスチン併用療法(RB療法)は,強い免疫抑制をもつがん薬物療法である.事例は治療開始12~16週後に発症した肝障害である.肝障害発症の要因に考えられるのは,薬剤性もしくはウイルスの活性化によるものである.患者は,治療開始前の肝機能検査でHBs抗体陽性・HBV DNA定量が1.3 LogIU/mL以下で,B型肝炎ウイルス(HBV)再燃のリスクを考慮し,月に1回HBV DNA定量モニタリングを行いながら悪性リンパ腫の治療に取り組んでいた.ウイルスの増殖と肝炎発症にいたる時間経過から,事例はHBVの再燃を疑う症状である.
免疫抑制効果の強い治療を行った既往感染者のHBV再燃による肝炎は,劇症化の頻度が高く,予後不良(発症例の致死率10%)の報告がある1~5).HBV肝炎に移行する前にHBV再燃を診断し,すみやかな入院と治療開始が必要な状態である.
この事例にどう対応する?
HBVの活動性と肝障害の重症度を評価するために,血液検査(肝機能検査・HBV-DNA定量検査)を行いHBV再燃の診断を行う(図1).確定診断後は,原疾患の治療に優先し,劇症化を回避するために抗ウイルス薬の投薬と安静保持の治療を開始する.原疾患より優先し治療が行われるため,その必要性を患者・家族が受け入れられるよう支援を行う.
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