連載 病原微生物・見方をかえたら・9
B型肝炎ウイルス
益田 昭吾
1
1東京慈恵会医科大学
pp.1179
発行日 1996年12月25日
Published Date 1996/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901534
- 有料閲覧
- 文献概要
常在菌とか常在微生物とよばれるものがいます.これらの微生物は宿主が健康な場合には病気の原因とならないので,病原微生物と対比的に考えられます.日和見感染症を除けば常在微生物では感染環を問題とすることは少ないのですが,多くの場合,新生児は母親から常在微生物の感染を受けると考えられます.もちろんこの感染が病気を起こすことはごくまれなことです.しかし病原微生物の感染とおなじように,これは典型的な垂直感染ということになります.
B型肝炎ウイルスは,現在,肝炎を起こすウイルスとして報告されている数種類のもののなかで,特にC型肝炎ウイルスとならんで注目されています.それは,ウイルスが含まれている血液に接触することで生じる肝炎の病原体として,患者にとってだけではなく医療従事者にとっても大きな問題なのです.
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.