特集 がん患者の創傷・皮膚障害 ~ケアの基本と実践~
【がん薬物療法関連創傷・皮膚障害】
皮膚GVHD ~セルフケア支援のための知識とケアの実際~
川﨑 和広
Kazuhiro KAWASAKI
pp.736-741
発行日 2019年11月1日
Published Date 2019/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango24_736
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はじめに
移植の普及により造血幹細胞移植を受ける患者の総数は増加し,多くの移植患者がより長期に生存するようになった.一方で,移植後にはさまざまな合併症が起こり「生活の質」「人生の質」に関して多くの課題を有している.造血幹細胞移植を受けた患者の皮膚は,大量の抗がん薬や全身放射線照射を用いた影響により脆弱となっている.そこに皮膚GVHDが発症すると,皮膚障害は悪化しやすくなり,重症化すれば生命に危険を及ぼす.そのため,皮膚GVHDには早期発見,皮膚障害の予防,早期治療が重要となる.また,皮膚の変化は精神的,社会的,霊的な苦痛を与え,長期にわたり患者に大きな影響を及ぼす.看護師は,全人的な苦痛を意識しながら,長期的な視野をもって患者をケアしていくことが重要である.本稿では,皮膚GVHDの概要と,重症化予防の方法,重篤化した場合の対応について紹介する.
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