- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
いま求められているもの
がん看護において,“患者家族支援”は,比較的新しい領域であり,取り組むべき課題ともいえる.その理由は,“隠れた悩みや負担”の増加とその影響である.
医療システムの変更や治療の進歩は,患者(家族)にさまざまな変化をもたらした.
①医療者と患者(家族)の直接対面とコミュニケーション機会の減少
②がん薬物療法の進歩のなかで患者(家族)に求められる高度なセルフマネジメント
③短い診療時間で優先される診療上の課題と患者が抱える全人的な悩みや負担のズレや差,など
悩みや負担は,時に,患者の判断や行動を妨げ,治療,日常生活,社会生活にも影響することがある.それだけに,“隠れた悩みや負担”に早く気づいて介入する,もしくはそのリスクを事前に予測し,予防するような支援を行うことが,より求められるようになってきているといえる.
“隠れた悩みや負担”は患者視点の主観的なものであり,これまでは,個別性が重視され,評価も主観にとどまることが多かった.そこで,患者の視点に基づいた悩みや負担の全体像(主観的評価)を,医療機関内の異なる部門,職種の知識やスキルの違いに関係なく共有し支援につなげるためには,共通した評価基準に落としこむ必要がある.
私たちは,がん患者の悩みや負担を生の声で収集し,体系化を行った.体系化した「静岡分類」で整理することで,患者視点の悩みや負担の統一した評価が可能になった.静岡がんセンターの患者家族支援にかかわる部門では,共通してこの分類法を用いて患者の悩みや負担を分類・評価し,支援に活かしている.
本稿では,患者視点の悩みや負担を体系化した「静岡分類」の概要とその臨床現場での活用を中心に述べる.
© Nankodo Co., Ltd., 2019