特集 いま必要ながん看護 ~がん対策推進基本計画の実現を目指して~ 【診断・治療・ケアの実践】
早期からの緩和ケアの実践 ~治療期から看取りまでをシームレスに~
篠田 亜由美
1
,
向山 敦子
2
Ayumi SHINODA
1
,
Atsuko MUKAIYAMA
2
1静岡県立静岡がんセンター副看護部長,患者家族支援センター 緩和ケアセンタージェネラルマネージャー/緩和ケア認定看護師
2静岡県立静岡がんセンター 患者家族支援センター 緩和ケアセンター/緩和ケア認定看護師
pp.657-659
発行日 2019年9月1日
Published Date 2019/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango24_657
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いま求められているもの
がん医療の現状では,がんと診断された患者の6割は治癒し,4割はがんで命を奪われる.地域に立脚した静岡がんセンター(以下,当院)は,可能なかぎり,進行がん,再発がん患者を最期まで治療し,ケアすることをテーマとしてきた.がん患者診療数では,わが国トップスリーの診療実績の中で,最期まで看取った患者数は,毎年,1,100名以上と,すべての医療機関のなかで最大である.これらの患者には,緩和医療科,緩和ケア病棟の医療スタッフを中心に看取りにかかわるスタッフが,quality of death (QOD)の向上に努めてきた.
一方,「診断当初あるいは日常診療における緩和ケア」については,緩和ケアチームの介入や支持療法の充実に努め,初診時から患者・家族の悩みや負担に向き合うシームレスな包括的患者家族支援体制の中で,すべての医療スタッフが,全人的ケアを実践するしくみづくりに努めてきた.
こうして,「診断当初あるいは日常診療における緩和ケア」,「症状緩和」,「最期の看取り」をシームレスにつなぐ緩和医療・緩和ケア体制が実現した.
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