特別寄稿
「がん体験者の悩みQ&A」―臨床や患者家族支援への活用―
石川 睦弓
1
Mutsumi ISHIKAWA
1
1静岡県立静岡がんセンター研究所 患者・家族支援研究部
pp.377-381
発行日 2022年5月1日
Published Date 2022/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango27_377
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
「抗がん薬の副作用があっても,仕事や家事をこなしていくのが生きている喜びと思えるときもあるが,その日常がつらくてつらくて,抗がん薬治療をやめたい,でもやめたら死が目の前になる.心の中の葛藤を誰にも言えず,それもつらかった」,「手のしびれは軽くなったが,両足先から土踏まずにかけてのしびれがあり,何年経ったらこのしびれは治るのか,この先歩けなくなるのではないか」,「恋人に病気のことを話せずにいて,これからのことや病気がばれないか心配だ」…….
これらは,静岡がんセンターホームページの「患者支援・相談」項目にある「がん体験者の悩みQ&A(旧名称 web版がんよろず相談Q&A)」(https://www.scchr.jp/cancerqa/)で公開している悩み文の一部である.悩み文は,のべ1万2千人のがん体験者が参加した2回の全国横断調査1,2)で収集した自由記述の悩みの文章を体系化して構築したデータベースを核としている.
「がん体験者の悩みQ&A」は,毎月70万前後のページビューがあるが,さらに,臨床,がん相談,患者家族支援,教育,研究など,さまざまな用途でこのコンテンツを活用し,がん体験者の理解や支援の一助となるように,実装している機能について本稿では紹介する.なお,後述する実装している各機能やコンテンツのページは,表1にURLとQRコードを掲載するので,参考にしていただきたい.
© Nankodo Co., Ltd., 2022