特集 「地域を診る医者」最強の養成法!
【各論:実況中継!】
—地域のシームレスな医療に強くなる!❷—緩和ケア
大中 俊宏
1,2,3
1順天堂大学大学院医学研究科緩和医療学
2順天堂大学医学部緩和医療学研究室
3賛育会病院緩和ケア内科
キーワード:
生命予後
,
病の軌跡(illness trajectory)
,
コミュニケーション
,
意思決定支援
,
チーム医療
,
価値に基づく医療(valued based medicine)
Keyword:
生命予後
,
病の軌跡(illness trajectory)
,
コミュニケーション
,
意思決定支援
,
チーム医療
,
価値に基づく医療(valued based medicine)
pp.742-745
発行日 2017年6月15日
Published Date 2017/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429200954
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Case
コントロール不良ながん性疼痛、せん妄を伴いながら、在宅を希望する患者さん
患者:70歳、女性。
家族歴:週3回透析をしている夫と、2人暮らし。子どもはいない。
現病歴:1年前に「直腸がん」と診断された。初診時にすでに広範な転移を認め、腫瘍内科医の指導の下に総合診療医が抗がん治療を行ってきた。半年ほど前に重症感染症を併発し、以後、抗がん治療は中止。夫の透析の時間帯は1人きりになるが、「PS(performance status)3」の状態の本人がセルフケアを行いつつ、在宅療養をしてきた。
今回、両側水腎症による腎前性腎不全で緊急入院。腎盂ステント留置術により腎機能は改善したものの、「PS4」と大きく低下し、せん妄も合併。今まで自分で内服してきたオピオイドも使用できなくなった。悪性腸腰筋症候群のため、下肢に触れるだけで大きな声を出し、疼痛コントロールは十分ではない。本人の「家に帰りたい」と繰り返す言葉を聞き、夫は「すぐに自宅に連れて帰りたい」と焦っている。状況から、在宅はとても現実的ではないと考えた総合診療医は、緩和ケアチームに相談した。
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