特別寄稿
がんの支持療法と緩和ケア ~静岡がんセンターにおける整理~
遠藤 久美
1
,
篠田 亜由美
2
Kumi ENDO
1
,
Ayumi SHINODA
2
1静岡県立静岡がんセンター看護部/がん看護専門看護師
2静岡県立静岡がんセンター看護部/緩和ケア認定看護師
pp.61-64
発行日 2022年1月1日
Published Date 2022/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango27_61
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
「緩和ケア」はがん対策基本法において「がんその他の特定の疾病に罹患した者に係る身体的若しくは精神的な苦痛又は社会生活上の不安を緩和することによりその療養生活の質の維持向上を図ることを主たる目的とする治療,看護その他の行為をいう」と定義されている1).2007年のがん対策基本法施行時から「治療の初期段階からの緩和ケアの実施」の必要性が明記されているが,2012年の改正時からは「がん患者の状況に応じて緩和ケアが診断の時から適切に提供されるようにすること」と緩和ケアの開始時期が「診断時から」と明確に表現されるようになった.一方,「支持療法」は第3期がん対策推進基本計画において「がんそのものによる症状やがん治療に伴う副作用・合併症・後遺症による症状を軽減させるための予防,治療およびケアのこと」と定義されている2).
これらの「診断時からの緩和ケア」と「がんそのものおよびがん治療による症状を軽減するための支持療法」は重なる部分が多く,臨床現場においては厳密に区別せずに実践しているのが現状である.そこで本稿では,静岡がんセンターの実践を基にがんの支持療法および緩和ケアの考え方を整理する.
© Nankodo Co., Ltd., 2022