連載 My Favorite Medicine!! 私が注目している抗がん薬を紹介します. 【3】
#3 ドキソルビシン塩酸塩(アドリアシン®)
菅野 かおり
1
1公益社団法人日本看護協会神戸研修センター
pp.576-577
発行日 2019年7月1日
Published Date 2019/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango24_576
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
どんな薬?
ドキソルビシン塩酸塩(以下,ドキソルビシン)は1975年に日本で発売になった古い抗がん薬です.イタリアのアドリア海沿岸の土壌から発見されたことから通称(慣用名)アドリアマイシンと呼んでいます.アントラサイクリン系薬剤として最初に開発されたダウノルビシン塩酸塩と同じ放線菌の変異株培養液から発見されました.ほかにもアントラサイクリン系抗がん抗生物質には類似化合物が多くありますが,白血病の治療に使用するイダルビシン塩酸塩,ダウノルビシン塩酸塩は骨髄系への感受性が高く,ドキソルビシンはリンパ系への感受性が高いという特徴があり,骨髄性白血病にはイダルビシン塩酸塩とダウノルビシン塩酸塩,リンパ性白血病や悪性リンパ腫などにはドキソルビシンが使用されます.また,ドキソルビシンは各種悪性腫瘍に対して幅広い抗腫瘍効果を示すことが確認されており,多くの固形がんのレジメンに組み込まれています.テレビドラマなどでもよく取り上げられており,特徴的な赤色で,強い吐き気,脱毛,感染症という衝撃的な副作用とともに認識されている薬ですが,高い抗腫瘍効果でも注目されている薬です.
© Nankodo Co., Ltd., 2019