第Ⅱ章 10の病院に学ぶ苦痛スクリーニングの取り組み
松阪市民病院における苦痛スクリーニングの取り組み
菱谷 徳子
1
1松阪市民病院看護部/がん看護専門看護師
pp.488-493
発行日 2019年6月15日
Published Date 2019/6/15
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango24_488
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施設の特徴
松阪市民病院(以下,当院)は,がん診療連携拠点病院に準ずる医療機関として県独自に指定する「三重県がん診療連携病院」である.病床数は328床,うち緩和ケア病棟20床,地域包括ケア病棟39床で,居宅事務所と訪問看護ステーションが併設されている.2017年度の年間外来患者のべ人数は14万8,707人,そのうち4割ががん患者で,外来化学療法を利用したのべ患者数は2,334人となっている.
当院には,精神科医師が不在のため緩和ケアチームは存在しないが,がん患者の質の高い療養生活の実現を目標に掲げるがんサポートチームを結成している.がんサポートチームは,がん関連の専門・認定看護師(がん看護専門看護師2名,がん化学療法看護認定看護師1名,緩和ケア認定看護師3名),訪問看護師,外来看護師,病棟看護師,医療ソーシャルワーカーで構成されている.
当院の外来では看護補助者を採用しており,看護師が診察の介助をすべて行っているわけではない.とくに消化器外来では看護補助者が診察の介助を行っている.そのため,消化器外来ではがん患者の苦痛が見逃される可能性が高い状況が生じていた.このような状況が,苦痛スクリーニングの開始に影響を及ぼしたと考える.
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