Japanese
English
特集 消化器良性疾患に対する外科治療update
III. 肝胆膵
2.巨大肝血管腫に対する外科治療update
Surgical treatment of giant hepatic hemangioma
百瀬 博一
1
,
大森 春佑
1
,
工藤 翔平
1
,
川口 翔平
1
,
蓮井 宣宏
1
,
松木 亮太
1
,
小暮 正晴
1
,
鈴木 裕
1
,
阪本 良弘
1
H. Momose
1
,
S. Omori
1
,
S. Kudo
1
,
S. Kawaguchi
1
,
N. Hasui
1
,
R. Matsuki
1
,
M. Kogure
1
,
Y. Suzuki
1
,
Y. Sakamoto
1
1杏林大学医学部附属病院肝胆膵外科
キーワード:
巨大血管腫
,
外科治療
Keyword:
巨大血管腫
,
外科治療
pp.355-360
発行日 2024年4月1日
Published Date 2024/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_geka86_355
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肝血管腫は原発性肝腫瘍のうちもっとも頻度の高い良性腫瘍である.一般に直径10 cm以上の血管腫は巨大肝血管腫とされ,その切除適応には議論がある.日本肝胆膵外科学会のプロジェクト研究の結果では,最大径5 cm未満で肝細胞癌との鑑別の困難な症例,いわゆる「巨大」とされる10 cm以上の有症状例に対しては切除適応があるとされるが,腫瘍径が増大するに従って合併症も増加するため十分な対策が必要である.一方,5~10 cmの血管腫の患者の多くは無症状であり,正しく診断できれば経過観察を基本とすべきである.近年,低侵襲肝切除が台頭し,低侵襲で切除できることを理由にした肝切除が行われる可能性があり,切除適応自体をよく検討する必要がある.破裂して出血を伴った巨大な血管腫に対しては,肝動脈塞栓後の肝切除の有用性が報告されており,合理的な治療戦略である.血管内治療は症状緩和の点で明らかに有用であり,将来的に有望な治療法である.
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