書評
ラパコレを究める―技術認定を目指す標準手技,困難例を制すBailout手技[Web動画付]
渡邊 昌彦
1
1北里大学北里研究所病院
pp.166
発行日 2021年2月1日
Published Date 2021/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_geka83_166
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- 文献概要
30年の時を経て,さまざまな疾患で内視鏡外科が標準治療として認知されるようになった.その火付け役となったのが,腹腔鏡下胆囊摘出術(ラパコレ)である.ラパコレは,あらゆる手術が低侵襲に向かうという現実をわれわれに突き付けた.そして,ラパコレを知った外科医の熱情が,内視鏡外科の適応を拡大させていったのである.こうしてラパコレは,消化器外科の専門医が習得すべき基本的な手術手技として定着した.しかし,ラパコレの合併症に伴う手術死亡はいまだに0.1%程度ある.日本内視鏡外科学会は安全な内視鏡外科の普及を目指し,技術認定制度を2004年に開始した.この制度が定着していく過程で,手技の定型化と教育の充実がすすめられ,外科医のある種の目標に内視鏡外科技術認定医が位置付けられるようになった.この背景のもと,本書に「技術認定を目指す標準手技」という魅力的な副題がつけられたのであろう.ラパコレには視野展開,剝離,血管処理などさまざまな内視鏡外科の基本手技が凝縮されている.また,炎症のない症例も多く,初心者にとって内視鏡外科の基本を身につけるのに絶好の手技である.
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