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近年進展がめざましい人工知能(artificial intelligence:AI)の特徴の一つとして,特に個別のものを認識する「個の識別機能」と,通常画像との違いを検出する「異常検知機能」が得意であることがあげられ,この画像認識分野において実用化がすすんでいる.医療分野においても,この特徴を活かして病理診断や放射線診断などで取り入れられ,臨床への応用に向けてすすんでいる.外科分野では,カメラを用いて画面上で術野を共有する内視鏡手術やロボット支援下手術において,手術ナビゲーションや手術支援ロボットへのAIの活用が期待されている.
長崎県は離島地域を多く抱え,外科医の不足・偏在化が問題となりつつある.この問題に対する取り組みとして,当グループは,少人数での手術が可能となる腹腔鏡手術用のロボット型手術支援システムの開発に取り組んできた.当グループの内視鏡操作支援システムは,プロトタイプにおいて,術者自らがヘッドギア型の操作指示入力デバイスを利用することで,意のままにロボットを操作し,単独で内視鏡手術を施行することを可能とした.引き続いて,このシステムにAIによる学習システムを組み込むことで,手術ナビゲーションシステム,内視鏡ロボット運転支援システムを実装することを目的に研究を開始した.
個別のものを認識する「個の識別機能」を利用して,臓器(胆囊,胆囊管,総胆管領域)を個別に判別するシステムを作成し,これを応用して,リアルタイム手術ナビゲーションシステムを開発した.現在は,このシステムをベースとした手術ナビゲーションシステムを構築している.手術ナビゲーションが行った臓器判断を内視鏡操作支援システムにフィードバックし,内視鏡ロボットを自動で操作する運転支援システムを内視鏡操作支援システムに実装することに成功した.本システムの成果は外科医療機器の高度化においても一助になると考えている.
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