Japanese
English
特集 消化器疾患に対する機能温存・再建手術
III. 肝胆膵領域
3. 肝機能超不良例に対する腹腔鏡下肝切除
Laparoscopic liver resection for liver tumor with severe liver dysfunction
合川 公康
1
,
高瀬 健一郎
1
,
渡邉 幸博
1
,
岡田 克也
1
,
岡本 光順
1
,
佐藤 弘
1
,
櫻本 信一
1
,
山口 茂樹
1
,
小山 勇
1
,
宮澤 光男
2
M. Aikawa
1
,
K. Takase
1
,
Y. Watanabe
1
,
K. Okada
1
,
K. Okamoto
1
,
H. Sato
1
,
S. Sakuramoto
1
,
S. Yamaguchi
1
,
I. Koyama
1
,
M. Miyazawa
2
1埼玉医科大学国際医療センター消化器外科
2帝京大学医学部附属溝の口病院外科
キーワード:
腹腔鏡下肝切除
,
高度肝機能障害
,
肝がん治療ガイドライン
Keyword:
腹腔鏡下肝切除
,
高度肝機能障害
,
肝がん治療ガイドライン
pp.527-532
発行日 2019年4月25日
Published Date 2019/4/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_geka81_527
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肝癌に対する治療ガイドライン1)に準拠すれば,肝障害度Cと判定されると,その治療方針は肝移植あるいは緩和ケアとなる.しかし,肝障害度Cといえども通常の日常生活を送っている人は多く,腫瘍に対するなんらかの治療を希望されることがしばしばある.海外ではバルセロナ基準2,3)などの基準を用いて治療適応を検討しているが,おおよそ本邦のものより厳しい手術適応となっている.これら治療ガイドラインの欠点としては,1人の患者に対し,切除治療か非切除治療かどちらかの選択枝を提示されることにあると思われる.われわれは,切除とラジオ波焼灼術(RFA)や肝動脈化学塞栓療法(TACE)などの非切除治療とのコンビネーションを念頭におき,治療方針を検討している.たとえば病変が3ヵ所あり,一つの病変位置が深く切除範囲が肝予備能の許容範囲を超えてしまう場合は,深部はRFA,表在の病変は切除という集学的多段階の治療も施行している.近年は,サイバーナイフによる定位放射線治療4,5)も治療アームとして活用している.このように,肝臓をできる限り残す低侵襲局所治療の一つとして腹腔鏡下肝切除(laparoscopic liver resection:LLR)をとらえており,肝機能不良例でも症例を吟味し切除適応としている.本稿では当施設で施行した肝機能超不良例(肝障害度 C)肝癌に対するLLRにおける適応,手技のコツ,そして周術期成績について実際の症例を供覧し解説する.
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