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特集 消化器癌に対する最新の集学的治療戦略
I. 総論
2.放射線治療
-―重粒子線治療の現状
Radiation therapy for gastrointestinal cancer
山田 滋
1
,
磯崎 由佳
1
,
瀧山 博年
1
S. Yamada
1
,
Y. Isozaki
1
,
H. Takiyama
1
1国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構放射線医学総合研究所病院重粒子線治療研究部
キーワード:
消化器癌
,
放射線治療
,
重粒子線
Keyword:
消化器癌
,
放射線治療
,
重粒子線
pp.798-804
発行日 2018年7月1日
Published Date 2018/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_geka80_798
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従来,消化器癌に対する放射線治療は,食道癌や肛門癌などの扁平上皮癌を除き根治治療として施行されることは少なかった.これは,消化器癌が放射線抵抗性とされる腺癌が多いこと,また,腫瘍周囲の放射線感受性の高い消化管や膀胱などを避けることができず十分な線量を腫瘍に照射することが困難なことが理由であった.近年,放射線治療機器の急速な進歩により線量集中性が高くかつ生物学的効果(殺細胞効果)の高い治療が可能になってきた.そのため,最近では消化器癌に対する低侵襲な治療法として放射線治療を用いられることが急速に増加している.今回,われわれが施行している重粒子線治療を中心に消化器癌に対する放射線治療の現状を紹介した.なお,本稿では,重粒子線とは重イオン線,なかでも炭素イオン線のことをさす.Gy(RBE)は物理線量に光子線に対する生物効果の相対比であるRBE(relative biological effectiveness)をかけた線量である.
© Nankodo Co., Ltd., 2018