特集 外科手術器具の理論と使用法
Ⅲ.エネルギーデバイス
下部消化管手術で用いるエネルギーデバイス
沖田 憲司
1
,
西舘 敏彦
1
,
竹政 伊知朗
1
1札幌医科大学消化器・総合,乳腺・内分泌外科
キーワード:
下部消化管
,
超音波凝固切開装置
,
高周波手術装置
,
ベッセルシーリングシステム
Keyword:
下部消化管
,
超音波凝固切開装置
,
高周波手術装置
,
ベッセルシーリングシステム
pp.1175-1178
発行日 2017年11月25日
Published Date 2017/11/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_geka79_1175
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大腸癌の根治手術では,胎生期の発生過程で膜におおわれる腸間膜を損傷することなく正しい層に沿って剝離し,支配血管を根部で結紮・切離し,腫瘍を含む腸管および腸間膜と所属リンパ節をen blocに切除することが重要である.この手技は直腸癌手術においてはtotal mesorectal excision(TME),結腸癌においてはcomplete mesoclic excision(CME)+central vascular ligation(CVL)として認知されており,適切に施行することで予後の向上につながると報告されている1~5).繊細な膜構造を維持し,CMEやTMEを完遂するためには,膜の切離,剝離操作,血管切離,腸間膜処理など,手術のそれぞれの場面でエネルギーデバイスを適切な方法で使用する必要がある.当科では,下部消化管手術においてはほとんどの場面で超音波凝固切開装置(ultrasonically activated device:USAD)を使用している6)ので,本稿では下部消化管手術におけるエネルギーデバイスの使用方法に関して,USADを中心に電気メスおよびベッセルシーリングシステムに関しても解説する.
© Nankodo Co., Ltd., 2017