特集 外科手術器具の理論と使用法
Ⅱ.ドレーン
ドレーンの種類特性と使用法(VAC療法も含めて)*
北野 雄希
1
,
山下 洋市
1
,
馬場 秀夫**
1
1熊本大学消化器外科
キーワード:
ドレーン
,
NPWT
,
術後管理
Keyword:
NPWT
pp.1118-1123
発行日 2017年11月25日
Published Date 2017/11/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_geka79_1118
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ドレナージ(drainage)は外科領域でもっとも基本的かつ重要な手技の一つであり,創傷部や体腔内に貯留した血液,リンパ液,消化液,膿汁,滲出液を体外へ誘導し排除することで,生体に有害な反応を回避し,創傷治癒の促進や生理機能の回復が望める.ドレナージの歴史は古く,ヒポクラテスの時代から膿胸や腹水の治療的ドレナージが行われていたとされ1),19世紀に入ると婦人科領域で術後ドレーンが使用され始め2),19世紀後半には消化器領域でBillrothが胃切除後に予防的ドレーンを留置するようになった3).ドレーンの意義や適応に関しては諸説あるが,海外では「When in doubt, drain」4),日本でも「必要と感じた予防的ドレナージを行うに躊躇すべからず」と先人らは述べており5),ドレーンに助けられた経験のある外科医なら,躊躇なく予防的ドレーンを入れているのではないかと思われる.各施設間でドレーンの使用に関しては相違があるのが現状であるが,近年海外からの報告では,術式や疾患によっては術後予防的ドレーンが不要であるとする報告も散見され,日本と海外でも大きな隔たりがあると感じられる6, 7).本稿では基本的なドレーンの種類と特性,使用法に関して概説する.
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