特集 外科手術器具の理論と使用法
Ⅱ.ドレーン
乳腺手術に用いるドレーンと使用法
岩間 敬子
1
,
齊藤 光江
1
1順天堂大学乳腺内分泌外科
キーワード:
乳腺手術
,
ドレーン
,
漿液腫(seroma)
Keyword:
乳腺手術
,
ドレーン
,
漿液腫(seroma)
pp.1142-1145
発行日 2017年11月25日
Published Date 2017/11/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_geka79_1142
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
わが国の乳癌の罹患数はいまだ増加の一途をたどっており,現在年間8万人を超えるほどとなっている.乳房の術式は,定型的乳房切除術から胸筋温存乳房切除術へ,そして乳房温存術や乳房切除に乳房再建術を加えるものへと変遷を遂げている.また腋窩の術式としては,ほぼ全例に行っていたリンパ節郭清をセンチネルリンパ節生検で郭清の適応を決めるようになり,さらにはセンチネルリンパ節生検も省略する症例を選ぶ時代に突入した.
乳癌手術そのものは乳房の整容性かつ患側上肢の機能温存を目的に,縮小手術の流れにあり,他臓器癌の手術に比べ生命の危険につながるような重篤な合併症は少ない1).しかしながら患側上肢のリンパ浮腫,可動域制限,創部や上腕内側の知覚異常,ケロイド,Mondor病など手術に伴う合併症があり,その中でも漿液腫はもっとも頻度の高い合併症である2).漿液腫対策として重要な役割を担うドレーンは,数々の改良が重ねられてきた.本稿では,乳腺外科領域において使用されているドレーンについて報告する.
© Nankodo Co., Ltd., 2017